自然豊かな環境で、家庭菜園やレジャーを楽しめる環境が地方にはある!
現在、大都市の一極集中の是正、地方の人口減少に歯止めをかけようと、観光や移住PRに力を入れている地方自治体も多く目にします。
こうした情報が耳に入ると、将来的には自然あふれる環境でのんびりと生活をしてみたいと考えて地方移住に興味を持たれる方もいるのではないでしょうか?
最近はテレワークの普及から、時間や場所を問わず仕事ができる環境が整備されつつあり、人間関係によるストレスからの解放や癒しを求めて、地方に新たな拠点を構えて生活をスタートする人もいるようです。
でも…新しい環境に身を置いて、望んだ生活を送ることができるか少し不安だな
仮に移住が上手くいって、長く住み続けたいと思ったとしても、病気やケガをした時に生活を維持できるのか不安だわ
地方移住に興味を持たれている方が不安に感じるポイントは、都市部と比較して、飲食店や小売店、多種多様なサービスが少ないといった日常生活の不便さではないでしょうか?
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- ミニマムな環境が地方生活の魅力の一つでもあるのですが、もしも、病気やケガをした時にどうなるのか。
- 地方での生活が肌に合っていて、長い期間生活ができたとしても、病気やケガ、後遺症によって介護が必要になった時に必要なサービスを受けることができるのか。
カラダの変化に合わせて、生活の質が担保されていないと不安ですよね。
こうした不安を払拭する考え方の一つに、地域包括ケアシステムがあります。
この地域包括ケアシステムという考え方を理解することで、いざと言う時に、何に備えて、どう人に頼れば良いのかを理解することができます。
地域包括ケアシステムってなに?
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- その人がその地域で、その人らしく質の高い生活を送れない原因は一つだけだとは限りません。
- 一人一人が人生で幸福を感じること、重要にしていることがそれぞれ違うように、質の高い生活を送れていないという問題は、個人によって異なる原因が存在します。
- 自分自身で自分らしい生活を担保できなくなった時に、その問題を地域でひっくるめて支えあうこと。
- これこそが、その地域に生きる人を、その地域で包括的に支援する“地域包括ケア”であり、その素晴らしい取り組みを持続させるものを地域包括ケアシステムと言います。
地域包括ケアシステムを機能させる“4つの助”
人の生活に寄り添い、支援するためにはどんなに素晴らしい取り組みであっても、一過性で終わることがあってはいけません。
地域で包括的に支援する取り組みを、持続させるためには“4つの助”が必要だと言われています。
その① 自助
- 身の回りのことは、自分で行うことを心がけ、自らの健康も管理します。
- 市場のサービス(一般的な小売店、飲食店、ヘルスケアサービスなど)を自ら購入して生活の質を担保します。
その② 互助
- 課題を共有できる地域コミュニティーや生きがい就労に参加したり、NPO等による有償ボランティアなど幅の広い業態から支援を選択して受けることができます。
- 非公的サービス(NPO、地域ボランティア、自治会コミュニティーなど)を利用して生活の質を担保します。
その③ 共助
- 病気やケガ、その後の後遺症といった問題に対して、専門家からの支援を受けることができます。
- 医療や介護保険サービス(病院、介護施設など)を利用して生活の質を担保します。
その④ 公助
- 様々な原因によって、働いて収入が得られず、生活が困窮してしまうという問題があっても、生きていくために必要な生活保障を受けることができる社会福祉制度を活用します。
- 公(税)による負担で成り立ち、生活保護以外にも人権擁護、虐待対策といった3つの助では解決できない生活課題に対して支援を受け、生きていく為に必要な生活を担保します。
一人一人がその人らしく質の高い生活を送るために
自助 ⇨ 仕事、趣味、特技を磨く
自身のスキルを活用して、収入を得ることで生活の自立を維持します。
互助 ⇨ 近隣と助け合える環境を作る
- 近所の方とコミュニケーションをとり、住んでいる地域の情報を得ることも大切です。
- 住んでいる地域にどのようなコミュニティーやボランティア、NPOといった非公的サービスが存在するのかを知ることで、日常生活のちょっとした手助けを依頼することができたり、生きがい就労支援を利用して社会的なつながりを確保し、生活の質を高めていくことができます。
共助 ⇨ 社会保険制度を活用できる
住んでいる地域の医療や介護サービスを把握しておき、病気やケガをした時にどこを頼れば良いのかを把握し、緊急事態に備えておきます。
公助 ⇨ 社会福祉制度の知識をつける
生活の困窮、人権問題、虐待といった様々な問題から生活維持が困難となった場合に、現在の社会福祉制度を調べておき、地域の役所を通じて支援を依頼する方法を把握しておきます。
将来の生活をイメージする
私たちは未来のことは分かりませんが、どう生活しているのかイメージすることはできます。
- 未来に対して良いイメージを持つ⇨ワクワクできる
- 未来に対して悪いイメージを持つ⇨不安になる
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これからの人生設計に、この「4つの助」を合わせてみると、大まかな生活イメージをつけることができます。
現在の地域で生活を続けていくのか、それとも移住をして新しい環境で生活するのかを決める上でも今後の生活をイメージすることが大切です。
今後の生活をイメージするために“4つの助”を当てはめてみよう
自助を当てはめる
現在のスキルを活かして、収入を得られる仕事や機会がその地域にあるのかを調べます。
互助を当てはめる
仕事を引退したときに、余暇を楽しめる環境がその地域にあるのかを調べます。
共助を当てはめる
病気やケガ、後遺症で他者から生活の支援が必要となった時、どのような生活スタイルを送りたいのか(自宅か施設、理想の環境があるのか)を考えます。
理想にあった生活環境を、その地域の医療や介護サービスでまかなうことができるのかを調べます。
公助を当てはめる
新しい感染症の流行もあり、一人一人の生活は一生涯保障されたものではありません。
非常事態に備えて、どのような補助を受けることで生活を続けることができるのか、理解することで不安を解消します。
一般の方に身近な言葉になってほしい
医療や介護職として仕事をしている人にとって、地域包括ケアシステムという言葉を耳にする機会も多いと思いますが、医療や介護サービスを頻繁に利用されない人には、あまり馴染みのない言葉かもしれません。
現在、大都市の一極集中を是正するために、地方への移住促進を後押しするながれとなっていますが、本当にその地域で生活を続けていくことができるのかを考えていく必要があると思っています。
カラダが健康な時は、日常生活で多少の不便があっても工夫して生活をすることができます。
では、健康でなくなった時はどうでしょう?
一人で外出ができなくなった時、食料や生活必需品の確保、体調が悪くなった時の病院受診はどうしましょう。
生活の質を担保するためにも、この地域包括ケアシステムという考え方が一般の方にも広く浸透し、自立して生活ができている時から「もしも、日常生活において、手助けが必要となったら…」その時のことを想定し、準備をしておくことが大切だと思っています。
「この住み慣れた町で過ごしていきたい」
そのために、住んでいる地域にどんなサービスがあるのかをあらかじめ知ることで、人生の不安も解消し、生活を更に楽しむことができるのではないでしょうか。
あなたの町、これから住もうと思っている町の「自助」「互助」「共助」「公助」をテーマに調べてみませんか?
地方への移住促進も、まずはここからだと思っています。